『覚醒水準を中間位にする』
2023.10.15
平素はハートフルデイの療育活動にご理解とご協力をいただき感謝申し上げます。
よく「覚醒が高い低い」という言葉を耳にしますが、覚醒とはそもそもどういう事を指しているのでしょうか。覚醒という言葉そのものは睡眠の対義語になります。つまり眠っている状態から起きた状態になることを覚醒と言います。そして活動を開始していく事でこの覚醒は高くなっていきます。1日の中で覚醒の変化はありますが、起きる前、眠る時にとても低いのがわかります。
覚醒は高ければいいというものではありません。高くなりすぎては逆にパフォーマンスが落ちてしまうと言われています。スポーツ心理学の分野で提唱されている逆U字モデルというものがあります。最高のパフォーマンスを出すには中間位の覚醒水準であることが良いというものです。ピンポイントで最も高いパフォーマンスの出せるゾーンに入るのはプロでも難しい事です。けれど、その水準に近づけることは可能です。プロは様々な手段で自分のパフォーマンスに合った覚醒水準にしているのです。
私たち療育士は子供たちの覚醒を感覚の面からコントロールするアプローチをしています。覚醒が低い状態のお子さんには少し強めの圧や不規則や速いタッチングなどで刺激を入れ、覚醒を上げていきます。そして上がりすぎないところで止めます。逆に高い際にはゆっくりと一定のテンポの感覚刺激を入れることで穏やかな覚醒に導きます。触圧覚や前庭感覚だけでなく、声のトーンなど、聴覚からもアプローチをしていき、中間位になるように導いていきます。
感覚水準を一定に保つことは大人でもなかなか難しいことです。けれど経験を重ねることでどうすれば自分が一番いいパフォーマンスの出来る覚醒状態になれるかを知ることはできます。お子さんがより安定した覚醒で日々を過ごせるように療育士は関わってまいります。