猫背と伸展優位の児童への支援策
2019.8.15
前号で、感覚調整の困難さが、動作や行動に影響を与えていることについて、感覚調整行動4タイプ(低反応、感覚探求、感覚過敏、感覚回避)を使ってお伝えしました。今回は姿勢・動作そのものに着目し、姿勢発達の順番を踏まえて、猫背(ステージⅠ)と伸展優位(ステージⅡ)についてお伝えします。
発達ステージⅠ・・・筋緊張の低さから日常の姿勢が常に猫背であり、体に力が入っていない状態
発達ステージⅡ・・・何か活動する際に、体に力を入れて胸を張り背中を反った伸展姿勢を多用する状態
普段、猫背気味の児童が、運動に取り組む時や姿勢の悪さを注意された時などに、意識して体に力を入れると、胸を張り、背中を反らせた、伸展姿勢となる。伸展姿勢で力を入れて身体を固めて作業や運動すると、上肢の可動域が狭まり、ぎこちない動作になる。本来、伸展姿勢は机上での書字作業や今やっている動きを止める動作やボールを体の正面で取る動作には不向き。理想は机上での書字や食事などの行為や止まる動作に向いている屈曲姿勢と、走ったり跳んだりする動作に向いている伸展姿勢の両方を使い分けられるようになること。
ステージⅢ(理想)・・・屈曲姿勢も伸展姿勢も場面によって使い分けられるようになっている状態
<伸展優位児童への支援策>
バランスボール 中長期的に筋緊張を高める支援を行う。座位の際、上肢を前方に出して軽度屈曲姿勢の活動を増やす。
マット イヌ歩きやクマ歩きの際、マットのラインを見る等して屈曲姿勢での活動量を増やし、身体図式獲得を支援する。
以上、筋緊張の低さから誘発される、猫背と伸展優位について見てきました。児童理解の一助となれば幸いです。
また、姿勢・動作の発達は毎回の療育の積み重ねが大切で、一朝一夕には実現できません。子ども達の発達と幸せのため、これからも定期的・計画的な療育受講へのご協力をよろしくお願いいたします。